在沖米国商工会議所の6月月例会(6月5日金曜日)にて、以下の概要で講演を行います。

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Kotaro Higuchi will be the presenter at the American Chamber of Commerce in Okinawa’s monthly General Membership Meeting for June.  Attached is the Japanese version of presentation summary for Japanese audiences.

売上目標がない! 研修制度は全廃! 流行のクレドもない! 顧客満足度も目指さない! 上司の唯一の仕事は「部下の役に立つこと」。社長は1ヶ月間他の仕事をせずに、250人の全従業員と一人30分の面接。また時には、厨房で丸一日仕込みの丁稚奉公(下の写真参照)。人間関係が何よりも(仕事よりも!)優先され、成果主義・収益主義・能力主義の一切が組織から消えた。役員を含む全ての従業員の給与・昇給・昇格・役職を決めるのは、「人間的な成長」、「どれだけ人の役に立ったか」の二項目だけ。夫婦喧嘩が遅刻の理由として認められ、「自分の好きなことだけをしてください」と全従業員に明言する企業が、数年前、沖縄に存在していたことをご存知でしたか?

沖縄県恩納村の老舗リゾート、サンマリーナホテルを取得し経営を引き継いだ樋口は、ウォール街仕込みの熱血管理経営を始めるが、沖縄の従業員にしてみれば、オーナーが代わるたびに本土からやってくる、毎度の「ナイチャー経営者」。やがて、組織から完全に浮き上がった「ばか殿」社長が、それまでの経営方針と自分の生き方を完全に覆し、資本主義の常識と正反対の経営を試みる。「企業は人間関係」と定義し、人間関係を最優先する方策を次々と実行。人への思いやりを、事業の手段ではなく、目的にするために、東京本社には内緒で、利益目標、売上進捗管理、人事の成果主義・能力主義を完全に廃し、「いま、愛なら何をするだろうか?」を企業理念かつ事業唯一の目的に。

その直後から、顧客満足度が爆発的に上昇し、旅行代理店からは、「最近のサンマリーナはいったい何をしたんですか?」と問い合わせが続き、熱狂した地元のオジーは誰に頼まれもせず、手塩にかけて育てた花木をホテルに持ち込む。10年以上実質的に赤字経営だったサンマリーナが、僅か1年足らずで経常利益1.3億円、営業キャッシュフロー2.3億円の超優良会社へといかに変容したか。そして、「成功しすぎた」サンマリーナが、取得から僅か2年で倍の価格で外資に転売され、それに抵抗した樋口が解任されるまでのお話。

【2009.6.3 樋口耕太郎】


サンマリーナ洋食厨房で一日丁稚奉公
社員が面白がって写真を撮ってくれました