6月13日(土)午後7時開講、『次世代金融講座』 第2期 受講者を、以下の通り募集します。

期間: 3ヶ月(6月~8月)
講座: 第二・第四土曜日、午後7時より2時間程度(全6回講座) 第一回目は6月13日(土)午後7時~
場所: 那覇市『厚生会館』多目的ホール(みずプラッサB棟3階)  那覇市おもろまち1丁目1番2号3階
講師: 樋口耕太郎
定員: 50名
受講料: 3万円(消費税込、全6回講座分、学生は1万8千円)
受講資格: 業界・職業など一切不問
お申込み: 本ページ右下の「お問い合わせ」をクリックして、以下の内容をご送付下さい

①お名前
②メールアドレス
③ご所属と簡単な担当業務・役職
④ご希望など(もしあれば)

講座内容: 資本主義社会の変容に伴い、金融・経営・事業の役割と機能が変化し始めています。
我々が迎えつつある次世代社会において、機能する金融とは、経営とは、事業とは、社会とは、を問い、
より良い事業や社会を構築するための、具体的かつ効果的な処方を模索します。
(ご参考:内閣府・沖縄県主催、「金融人財育成講座」受講者の声はこちらを参照下さい。)

受講者の皆様へのメッセージ:


樋口耕太郎

盛岡(岩手県)出身の私が、沖縄にとても深い縁が生まれてからそろそろ5年。沖縄は間違いなく、日本でも最も県民意識の高い地域のひとつで、食事をしても、お酒を飲んでも、人が集まると必ず沖縄についての話になると言っていいくらいです。青い空、青い海、ゆったりした県民性。日本語が通じる「外国」。日本で最も守られた市場。米軍基地の街。政治的に利用され続けた地域。補助金が降り注ぐ経済。模合という巨大金融文化・・・。さまざまな方がさまざまな価値観と表現で「沖縄」を語ります。聞く度に、どの観点も興味深く、それらは確かにそれぞれ重要な要素なのですが、私には、やはりステレオタイプの域を超えず、「沖縄の本質」、と云うべきものとは何か違っているような気がしていました。

このことがずっと頭にひっかかりながらの5年間、「沖縄らしさ」とはなにか、ということを私なりに考え続けてきましたが、つい最近、沖縄社会の真髄は、「人を変えようとしないこと」、ではないかと思い至っています。「社会はかくあるべし」、という規範が人を縛るのではなく、「自分は自分」、という人々の集合体として社会が構成されているような、そして各人の生き方がどのようなものであれ、人の生き方には関知しない、・・・結果として、他人をあるがままに受け入れる(放っておく?)土壌が、社会の本質を構成しているのではないか、と思うのです。コンビニの店員が、スローモーションのようにレジを打っていても、観光客が傍若無人に振舞っても、米兵が夜中に騒いでも、特段注意するでもなく、あるいは、不義理な人が模合を崩そうと、場合によっては詐欺行為を働こうと、そんな人たちでもなんとなく居場所があるような社会は、まさに「真髄」といったところ。

また、沖縄社会は、社会的な地位や肩書きに捉われず、人間性をずばりと見抜く鋭い感性を持つ人が多いことが重大な特徴のひとつです。人を変えようとしない代わりに、自分を変えようとする人には敏感で、その「危険」を感じると、一言も発せずにいつの間にか遠ざかって寄り付こうともしません。

翻って、本土経済、世界経済、資本主義は、人を変え、組織を変え、市場を変えることで成長を遂げてきました。経営者は自分以外の全てを変えることが自分の仕事だと固く信じ、競争に遅れそうな人を叱咤し、指導し、時には誠意と優しさをもって、人の人生に最大限干渉し、影響力を行使します。この社会で成功者といわれ、目覚しい成果を挙げてきた人は、ほぼ例外なく、多くの人や物事をコントロールすることで「生産性」を上げてきた人物です。

本土復帰以来35年、星の数ほどの本土系企業、あるいは外資系企業が、沖縄に進出してはことごとく失敗し、実質的な意味において、沖縄で成功したと言える企業がいまだに存在しない最大の理由はここにあるのではないかと思います。一般に、沖縄は本土の価値観、すなわち、資本主義の世界観に基づく、コントロール主体の事業経営や、スタイル重視のマーケティングが全くといっていいほど機能しない社会であり、例えば、そば一杯が売れる理由が本土とは本質的に異なるのです。

この事実を素直に解釈すると、沖縄には、資本主義とは異なる、横の人間関係を中心とした「第二の経済」が存在し、その原理を理解するインサイダーと、その原理に気が付かないアウトサイダーが入り乱れて市場が構成されているように見えます。必然的にアウトサイダーには継続性がなく、いずれ撤退を余儀なくされ、結果として日本で最も守られた市場が形成されています。沖縄は、日本最大の、そして恐らく世界最大の「第二の経済」圏である、と云えるのです。

現在、時代が大きな変換期を迎え、社会の構造や価値観が根底から変容し、本土的、資本主義的な経済構造が機能不全を起こしはじめています。今までの常識、価値観、序列、経営理論、事業モデルが破綻し、どのように事業、経営、戦略、人事を考えれば良いのか、についての新たな、そして合理的な実践行動モデルが必要とされはじめていますが、その鍵は、沖縄が最も得意とする、「第二の経済」が握っているという可能性はないでしょうか。

私が試みた当時、本土からは「正気の沙汰ではない」と云われた、サンマリーナホテルの、「人間関係をなによりも優先する愛の経営」が、実践において極めて高い経営合理性を持つのと同様、資本主義的な価値観からは「非効率」で「遅れている」と考えられていた沖縄の社会や人間関係が、今後の全く新しい社会の構造において、もっとも合理的に機能することが、次第に、やがて激流のように明らかになるでしょう。

この変容の中で、「周回遅れでトップを走る」、沖縄型社会・経済ビジョンを模索し、広く共有するため、そして、現在非常に高い評価を頂いている「次世代金融講座」を、定期的に続けて欲しい、という多くのみなさんの気持ちをつなぐため、6月13日(土)より 第二期 『次世代金融講座』 を開催いたします。この試みは、単なる講座ではなく、沖縄を中心とした、幅広い異業種間の、意識の高い次世代のリーダーを、利害によってではなく社会への高い意識と共感によって繋ぎ、グローバルな目線と先端経済の動きを敏感に捉え、まじめな経済模合風に運営する人的ネットワークとしても運営しようと考えています。

講座名称は、「金融」と銘打っていますが、これは、次世代社会において、事業と金融が不可分に変容するという想定に基づいているもので、要項にもありますとおり、受講に際して、業種・職種・タイトルなどをまったく問いません。是非ご参加頂ければと思います。