来週はハロウィン。 もうすっかり秋の雰囲気ですね。

昨年の2月に母を亡くしたのですが、
10日に、父を亡くしました。
昭和8年生まれの86歳でした。

父は昨年私にこう言っていたのです。
「お母さんが逝ってしまってもお父さんは全然大丈夫だから心配しなくてもいいよ。
趣味もたくさんあるし、長男も一緒に暮らしてくれているし、一人で何でも
できるからね。」
確かにレストランを商っていた母が生きている時には、サラリーマンであった父は
お休みが違うせいもあって、ゴルフにテニスにフリーダイビングにスキーに卓球、
カラオケに映画に小説執筆と、 遊び三昧。
定年後もその生活を続けていたのですが、 男ってなんと弱いものなのでしょう。
母が昨年亡くなるやすぐに、 透析を週に3回も受けることになってしまい、
今月は道路でこけて 意識を失っていたところ 通りがかった方に通報していただき、
入院。 くも膜下出血で次の日にはあっけなく 逝ってしまいました。

でも本当に父らしい最後だったと思います。
とても厳しい人で、誰にも頼ることをせず、何も求めず、何でも一人でして、
自由に生き、 でもまた私達にも 自由を与えてくれた人でした。
高校生になった日に、私の部屋にやってきて、こう言いました。
「これからは典子ももう大人や。何をしてもいいし、どこへ行ってもいいし、
誰と付き合ってもいい。自分で全部責任を取りなさい。
ただし、責任も取れないうちに子供を産んだり、人様に迷惑を かけることだけは
しないように。後は典子の人格を信じているから。」
こう言われては、タバコを吸うとか、お酒を飲むとか、ディスコに行くとか
全然できなくなってしまうわけです。
そんな父は、死ぬその日まで私達子供に介護などの迷惑を一切かけずに、
父らしくさっさと逝ってしまったのでした。

父のもとに産まれ育ててもらって一番有り難かったのは、一度も私と周囲を
比べなかったことです。典子は典子でいいと、ずっと言われて育ちましたし、
「みんながああしているから、こうしなさい」という日本的な協調性を強いるようなことは
一切言われませんでした。なので、みんなと同じじゃなきゃいけないなんて感覚は、
ゼロでした。

平均的なのがいいのではない、それぞれにいいんだ、と。
平均化というのは、 子供を、親や社会が扱いやすい人間にするだけのことで、
父は、それが嫌だったのでしょう。
「人間は、生まれたときは皆天才。いじくり回してダメにするのは大人なんや」
「生まれっぱなしに育ってほしい」
というのが教育方針でした。
だから親戚が「女の子はお嬢さん学校に…」というのにも大反対してくれましたっけ。
なるべく自由に、生まれっぱなしに育てたいというのは、無垢でいれば、
その人が本当に必要な何かに出会ったとき、ぐんぐんと吸収し、力を発揮することが
できる、という意味なのだと思うのです。
そういう意味では、父の目論見通りというのか、 実際に私は、何の教えも、
余計な情報も耳に入れないまま、ただ生きて、 大人になった気がいたします。

だから、社会に出てからビックリすることは山ほどありましたし、世間の「常識」からいえば、
相当に変な子で、今でも変な大人ですけど、夢中になって走り続けていられるのは、
生まれっぱなしに育ててもらったおかげだなぁと思っています。

生まれたての赤ん坊は、とても弱く頼りないものに思えるけど、
そんなこと、 ないんですね。ただひたすらに、生きようとするその姿を見ると、実は一番、
たくましい。そう父の死に顔を見ながら思ったことでした。

母の時はお商売をしていたこともあり、大きな葬儀をしたのですが、父の時は、
生前父が何度も手紙をくれて、
「お父さんは思い残すこともないぐらいしたいことをした 本当に幸せな人生だった。
だからお父さんがいつ死んでも決して泣いたり悲しんだり しないように。
一粒の涙もいらん。 派手なお葬式なども一切いらん。誰かが今日死んでも
世の中は 普通に 何事もなく回っていくもんや。だから典子も毎日黒い服ばかり
着ずに、 生活を毎日うんとうんと楽しみなさい」
とありましたので、 親しいものだけの家族葬でお通夜、告別式を終え、見送りました。

そして。
沖縄に戻ろうと、関西空港へ。 なんかシ~ンとしていておかしい…。
それもそのはず「台風により全便欠航」!
「振り替え便は明日はもう満席で 明後日になります」との非情なお言葉!
猫のごはんも足りなくなるし、せめて 明日には絶対帰らねば!とかけ合うと、
「では、今から3時間かけて髙松まで 夜行バスで行かれて、髙松にお泊まりいただき、
明日の昼便の沖縄行きで 振り替えます」とのことで、急遽髙松に移動。
次の日JR高松駅のバス乗り場で、 海を泳いで来た大きなイノシシが
街中を走り抜け、JR高松駅に突進していくのをビックリ目撃した後、空港へ。
さぬきうどんをトッピングしまくってたいらげ、ようやく沖縄へ戻ってまいりました~。

そして、 来週はもうハロウィン。
ハロウィンの始まりは、古代ヨーロッパの原住民ケルト族の宗教行事。
11月1日を新年とする彼らはその前夜に死者の霊が訪れると信じ、
充分な供物がないと悪霊に呪われると恐れていました。
そのため魔よけをし、同時に秋の収穫を祝う祭りを行っていたとか。
その後、多くの聖人たち(Hallow)を祝う万聖節となり、
近年、欧米では魔女やお化けなどの仮装をした子供たちが
「Trick or treat!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」と家々を回ったり
仮装をしたりして楽しむ日に変化しています。
日本でも注目されるようになったのはここ20年ほどのことですが、
年々派手なイベントになり、今ではスーパーなどでもたくさんのハロウィン仕様の
お菓子が売られていますね。
私達もたまには童心に戻ってみることも大切なことかもしれません…。

…ということで、私も10月27日(日)~11月7日(木)までお休みをいただき
ハワイで 父の大好きだった美しい海を、 生まれっぱなしの気持ちで、
ゆっくり眺めてまいります。

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