梅雨~っという感じで、じとじとじとと暑いですね~。
あなたはお元気にお暮らしでしょうか。

この間、拓実住宅の上原社長がいらした時のことです。
「私には5人子供がいるのですが、上の4人はもうみんな本土で就職したり
大学に通っていていて、今日は残る一番下の女の子を本土の大学に
空港まで送り出してきたのですが、実に寂しいものですね…。」
とのことでした。おまけに若くして亡くなられた弟さんの子供達を
ずっと見守っていらした上原社長なのですが、その子供さんがハワイに
結婚して行かれることになり、併せてとても感慨深そうになさっておられました。
また、私がいつも乗せていただいているタクシーの高山運転手さんも
「子供達全員が本土で就職してしまって、また夫婦水入らずの新婚生活が
戻ってきました。男の子が出て行く時はなんということもなく玄関で
見送りましたが、女の子が東京に行ってしまう時はもう寂しさが
こみあげてきて空港まで見送り、思わず泣きそうになりましたよ~。」
とのことでした。

私の父もそんな気持ちだったのかなぁ。
昭和8年生まれの私の父は両親との関係が希薄だったこともあったのか、
そういう時代の人だからか、私と弟に愛情を表現することが
とてもへたくそな人で、人一倍厳しい人でもありました。
なので私は「お父さん大好き!」なんていう明るい感情をついぞ持つことが
できず、それは弟も同じ思いだったようです。

麗王でもいろいろな方々の親子関係の悩みやトラウマ話をよくうかがいます。
子供の頃からなどの無意識に抑圧している感情や欲求があるうちは、
人間は百パーセントまるごとの自分自身になれないため、
その悪影響を払拭しようと、自分自身の奥底に押し込めている欲求と
少しずつ向き合うようになるのかもしれません。
それが自分の親にまつわることが圧倒的多数のように感じます。
親に愛されたい、認められたい、関心を持ってほしい、かまってほしい、
そんな子供の頃の想いを、ほとんどすべての人がそのまま抱えて
生きているのかもしれません。
そして、その主な対象が、父親なのです。
子供と接する時間は圧倒的に母親のほうが長いですし、
育児は母親の仕事と考えられがちなので、母親に対しての
感情を持つ人のほうが多いだろうと思われるかもしれません。
けれども私がお話をうかがってきた方々のほとんどは
父親がらみのものでした。
そういう人があまりに多いので、まるでこの世に「父親」がいないのではと
思うくらいです。父親との間に具体的な衝突がなくても、父親の存在の薄さ、
つまり子供時代に仕事でいつも忙しくて家にいなかった、必要な時に
そばにいてくれなかったということが、大人になっても消えない感情を
引き起こし、弊害をもたらすのかもしれません。

父親の存在の希薄さが、なぜその子供のトラウマになるほど重要な
問題なのかを考えてみると、
子供は父親を通して社会とのつながりを学ぶからだと私は思うのです。
生まれてまもない子供にとって、母親はまだ自分自身の延長のようなもの。
お腹の中にいたときはそれこそ一体でしたから、生まれてからしばらくの間も、
他者としての認識をあまり持ちません。
一方の父親は、ある意味、初めて会う他者です。
家と社会を結ぶ窓口が父親の大事な役目なので、子供にとっては父親は
「初めて会う社会」といえるかもしれません。
子供の世話をし、愛情を注ぐ母親のサポートをしながら、社会のしくみや
ルールを教えるのが父親です。
その父親との関係に問題があると、子供は成長して社会に出たときに、
困難を感じやすくなります。
父親が愛してくれない。関心を持ってくれない。認めてくれない。
自分に対して否定的。
するとその子供は、大人になって社会に出ていこうとするときに
自分に自信を持てず、他者とうまくやっていきにくい傾向にあるようなのです。
受け入れてもらえるか、認めてもらえるかが不安で、
怖じ気づいてしまうのかもしれませんね。

ただ、どうやらその父親の感情の希薄さも、生化学的に説明が
つくようなのです。
最近の研究によれば、女性は生化学的に、男性よりも他人とのつながりを
求める傾向があることがわかっています。
男女ともにストレスを感じればアドレナリンやコルチゾールといった
ストレスホルモンを分泌しますが、この悪影響を和らげるために、
女性の脳は「結びつきのホルモン」であるオキシトシンを放出しようとします。
女性が落ち込んだ時、友達と集まっておしゃべりに興じたり、子供やペットに
接したりするのはそのためなのでしょう。こうした行為がオキシトシンの分泌を
うながし、女性の心を穏やかにして、ストレスを消していくのだそうです。

また、ストレスやホルモンと性別の関係について幅広い研究を行っている
心理学者のジョン・グレイによれば、
ストレスを感じたとき女性はオキシトシンを分泌しますが、
男性にはそれがなく、コルチゾールの分泌によってドーパミンや
テストステロンの値が抑えられ、憂うつや不満を感じるようになるといいます。
こういった幸福のホルモンの生成をうながすために、
男性は、女性のようにおしゃべりや愛情を与える行為でストレスを
解消しようとせず、問題の解決や克服などの行動に出ようとします。
つまり、男性はオキシトシンの量が少なくなっているために、人間関係に
さほど注意を払わなくなるというのです。

なるほどねぇ。
なんだか女性が男性よりもおしゃべりなことが納得できるような…。
じゃあ、日曜日の父の日はお父さんにもっと優しい言葉で
電話してみようかなぁ。
あなたもどうぞそういうお父さんを理解し、思いやりと労りを
プレゼントなさる日にしてみてくださいね。
そしてあなた自身がお父さんでおありでしたら、
存在感をうんとアピールするべく御家族との楽しいコミュニケーションの日に
どうぞなさってみてくださいね。

【2014.6.12 末金典子】