お元気ですか?
だんだん涼しくなってきましたね~。体調など崩されておられませんでしょうか。

さて、あさってはハロウィンですね。
ハロウィンの始まりは、古代ヨーロッパの原住民ケルト族の宗教行事。
11月1日を新年とする彼らはその前夜に死者の霊が訪れると信じ、充分な供物が
ないと悪霊に呪われると恐れていました。そのため魔よけをし、同時に秋の
収穫を祝う祭りを行っていたとか。その後、多くの聖人たち(Hallow)を
祝う万聖節となり、近年、欧米では魔女やお化けなどの仮装をした子供たちが
「Trick or treat!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」と家々を
回ったり仮装をしたりして楽しむ日に変化しています。
日本でも注目されるようになったのはここ20年ほどのこと。
日本では子供のお祭りのようになっていますが、ハロウィンの行事が
ポピュラーなアメリカでは、大人たちも本格的な仮装に身を包み、
街中はもちろん職場にまで登場。友達や仲間同士で集まり、パーティで
盛り上がります。
大人もたまには、子供に帰って遊ぶ、童心に戻るということは大切なことかも
しれませんね。

それに実は、子供から逆にいろいろなことを学んだり、ハッとさせられたりって
いうことが意外とありませんか?

それで思い出したのですが、私が20年ほど前にハワイにいた時のことです。

ある日曜日の午後。
歩道の縁石にちょこんと腰かけて、一人熱心に本を読む少女がいました。
その脇に置かれた小さなテーブルには紙コップとポットがありました。
くわえて、一枚の貼り紙。そこに書かれた文字はすこぶる下手っぴいでした。

Today’s Special. Ice Lemonade. 25cent.

「こんにちは。」とわたし。
「こんにちは。」少女はちょっとびっくりしながらも、わたしを見て
ニッコリと言葉を返しました。
「これ冷たいのかしら?」わかっていながら、わたしは少女に
ふと聞いてみました。
「もちろんよ。」
「う~ん…」わたしはわざと悩んで見せました。
「今日しかないわよ。」
「え?」
「明日来てもないのよ。学校だもん。」
「そうなんだ。」
「だから、このレモネードは今日の特別なの。」
「そっか、じゃ飲んでおかないとね。」

わたしは少女に25セントを渡しました。
少女は読んでいた本を脇に置いて、両手でポットを持ち、コップにレモネードを
なみなみと注いで、満面の笑顔でわたしにコップを手渡しました。

「よくかきまぜて飲んでね。ありがとう、良い一日を。」
「ありがとう、あなたも。」

わたしは少女が言った「今日」という言葉に心を奪われました。
そして、少女にとっての「今日の特別」である手作りのレモネード。
それをゆっくりと味わいながら「明日でなく今日なんだな。」とつぶやきました。
なんだかとてもうれしかったことを今でも時々思い出すのです。

さてさて、あさっては子どもの気持ちに帰って、ハロウィンをわいわい
楽しんじゃいましょうよ!
今、この時を、大切に、うんと楽しみましょう!
私も魔女に変装し、八ロウィンの飾り付けやかぼちゃのお菓子とともに
あなたをお待ちしております。

【2009.10.29 末金典子】