皆さま、本年は本当にお世話になりました。年の瀬のあわただしい時期を、いかがお過ごしでしょうか。それとも、大掃除やらご馳走の準備やら万端に整え、紅白歌合戦の開始を待つばかりでしょうか。

本日を持って、1990年のバブルの崩壊以降継続してきた、日本の「失われた20年」が終わりますが、日本の「衰退」はこれから本格化し、新たな試練の20年を迎えることになるでしょう。これまでの20年間はいわば「第一の経済(資本主義経済)」が生み出した金融型バブルの崩壊だと思うのですが、戦後65年継続してきた日本の社会・産業の基本構造は殆ど原型のまま残っています。この本丸の大転換が、昨年のサブプライム危機をきっかけとして、ようやく緒に就いたばかりと言えるでしょう。

私は社会の変動を予想するときには、常に、自分自身の生き方を定め、事業計画を構築し、実行する目的で行っています。すなわち、この想定によって事業の方向性を定め、大量の資本を含む、経営資源を投下する(してきた)という意味でもあるため、自分なりのベストを尽くした調査、分析、思考と根拠に基づく戦略的社会・経済分析であり、私にとっては単純な市場予測以上の意味があるのですが、少なくとも過去15年間、重要な点においてこれらの想定が外れたことはありません(これからはどうでしょう?)。その前提で、新たな20年を迎える区切りのときに際して、今後5年間+αをイメージして私が予測する社会変動のポイントをご紹介しようと思います。・・・『次世代金融講座』でも申し上げていることですが・・・、将来の予測は、人が「馬鹿げている」と感じるくらいのものでなければ、殆ど実現しません。

①2012年~2015年を目処に、アメリカを基点に激しいインフレーションが生じ、世界基軸通貨ドルが実質的に崩壊する。日本でも財政悪化による金融不安を心配する向きがありますが、私はドルの方がよほど大きく、早く問題になると思います。

②同じく、2012年~2015年以降、基軸通貨とアメリカ経済の混乱を主因として、沖縄の基地問題が基本的に解消する。すなわち、嘉手納を含む米軍の大半が沖縄から撤収するという意味です。

③同じく、2012年~2015年以降、ドルの崩壊に伴って日本円が機能不全を起こすため、地域ブロック経済の重要性が著しく見直され、地域通貨が流通し始める。

④「第一の経済(資本主義)」を支える世界基軸通貨ドルが力を失い、「第二の経済」の社会モデルが急速に見直される。沖縄の世紀が急速に顕在化するという意味です。

いつもながら、大半の人に笑われそうな内容に聞こえるとは思いますが、少なくとも私自身は大真面目です。いつもの通り、以上は、これからの社会がこうなると占っているわけでも、この予測が正しいという意味でもなく、私はこの前提で自分の事業と行動を考えているという意味です。この予想が実現するかどうかということもさることながら、より重要な点は、このような社会変動が仮に生じた場合、我々沖縄に何ができるかということでしょう。

すなわち、例えば、「基地反対」と声を上げるよりも、基地が全面的に返還された場合、我々はその資源を社会のためにどのように生かすか、というビジョン作りをとても急ぐべきですし(短絡的かつ既に世界的な潮流に合わないカジノや、「おもろまち」「豊崎」・・・の量産は避けたいものです)、「第一の経済」からいかに取り分を確保するかに多大な労力を割くよりも、「周回遅れの沖縄」が日本と世界をリードする力を持っているという事実に気づき、沖縄が世界の誰よりも潜在力を発揮する「第二の経済」と、その前提となる自らの行動、生き方、人間関係を見つめなおすべきではないでしょうか。我々にはまだ2・3年の猶予があります。

沖縄の世紀が始まる大晦日。皆さま、良い世紀をお迎え下さい。

【2009.12.31 樋口耕太郎】